Agent HQのご紹介: あらゆるエージェントを、あなたのワークフローに

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GitHub Universe 2025にて発表された、GitHubの次なる進化。それは、開発者がいつでもどこでもあらゆるエージェントをオーケストレーションできる単一の統合ワークフローです


現在、開発者をとりまくAIの環境は、よくある課題を抱えています。それは、AIのもつ膨大な力が様々なツールやインターフェースに分散しているということです。GitHubはこれまでも、Gitへのアクセス性の向上、プルリクエストによる体系的なコードレビュー、Actionsによるデプロイメントの自動化など、こうした体系的な課題の解決に常に取り組んできました。

1億8000万人の開発者が利用するGitHubは史上最速のペースで成長しています– そして毎秒新しい開発者がGitHubを使い始めていて、その80%が最初の1週間でGitHub Copilotを使用しています。AIはもはや単なるツールではなく、開発エクスペリエンスに不可欠な要素です。私たちの責任は、この新しい時代のコラボレーションを強力かつ安全に、そして既に信頼されているワークフローにシームレスに統合できるようにすることです。

GitHub Universeでは、Agent HQ(エージェント本部)を発表しました—これはGitHubプラットフォームの次の進化に向けたビジョンです。エージェントは後付けではなく、既存のシステムと同じように機能するべきと考え、エージェントをGitHubフローにネイティブ対応させます。

Agent HQは、すべてのエージェントを単一のプラットフォームに統合して、GitHubをオープンエコシステムにするものです。今後数か月以内に、Anthropic、OpenAI、Google、Cognition、xAIなどのコーディングエージェントが、有料のGitHub Copilotサブスクリプションの一部としてGitHub内で直接利用できるようになります。



このビジョンを実現するために、すでに信頼されている基本機能をベースに開発された新機能をリリースします。まずはミッションコントロールから。単一のコマンドセンターとして、 複数のエージェントの作業をどこからでも割り当て、指示し、追跡できます。VS Codeでも利用でき、エージェントの動作を計画し、カスタマイズする新しい方法です。企業で利用できる、エンタープライズグレードの機能を提供します:新しくなったエージェントコードレビュー、AIのアクセスとエージェントの行動を管理する専用のコントロールプレーン、そしてAIが業務に与える影響を理解するためのメトリクスダッシュボードです。

GitHubは、プラットフォームへの投資と、日々のワークフローで使われている基本機能の強化に尽力しています。新しいソフトウェア開発の世界は、こうした基盤となる取り組みによって支えられており、今後も最新情報をお伝えできることを楽しみにしています。

では発表された機能の詳細を見ていきましょう。

GitHubはAgent HQとなりエージェントの本部へ: すべてのエージェントのためのオープンなエコシステム

未来のエージェント型ワークフローとは、多数のエージェントを編成して、各エージェントが得意とする分野の複雑なタスクを並行して実行させることであり、分断されたツールを寄せ集めたり、単一のエージェントに依存したりする必要はなくなります。GitHubは、非同期コラボレーションの先駆者として、次世代の非同期ツールを確実に動かすことが私たちの責任だと考えています。

Agent HQで変わらないことは、Git、プルリクエスト、Issueといった使い慣れた基本機能を使うこと、そしてGitHub Actionsやセルフホスト型ランナーなど、お好みのコンピューティングリソースを利用することです。エージェントへのアクセスは、既存のGitHub Copilot有料サブスクリプションを通じて行います。

その上で、新しいAIの力へのアクセスを提供します。 今後数ヶ月間で、Anthropic、OpenAI、Google、CognitionとxAIのコーディングエージェントが、 GitHub Copilot有料サブスクリプションの一部としてGitHubで利用可能になります。今すぐ試したい方のために、今週から、GitHub Copilot Pro+で、VS Code InsidersからOpenAI Codexにタスクの割り当てができるようになります。これは、直接エディタから指定できる最初のエージェントになります。

GitHubとOpenAIのコラボレーションは、開発者によるソフトウェア開発の限界を常に押し広げてきました。最初のCodexモデルはGitHub Copilotの基盤となり、AIを活用した新世代コーディングのインスピレーションを与えました。私たちは、働く場所を問わず開発者と繋がるというGitHubのビジョンを共有しており、GitHubとVS Codeを利用する何百万人もの開発者にCodexを提供し、コードが書かれるあらゆる場所にCodexの力を広げられることを大変嬉しく思います。

OpenAI社 Codexプロダクトリード アレクサンダー・エンビリコス氏

GitHubとの提携により、Claudeはチームのソフトウェア開発手法にさらに近づきます。Agent HQを使えば、ClaudeはIssueを拾い、ブランチを作成し、コードをコミットし、プルリクエストに応答し、他の共同作業者と同じようにチームと連携できます。これが、私たちが考える開発の未来です。エージェントと開発者が、既に信頼されているインフラストラクチャ上で共に開発を進めるのです。

Anthropic社 最高製品責任者 マイク・クリーガー氏

最高の開発ツールというものは、ワークフローにシームレスに統合され、集中力を途切れさせることなく作業を加速させます。Agent HQにより、Julesはネイティブな作業担当者となり、マニュアル操作を合理化して日常の開発作業との摩擦を軽減します。GitHubとの深い連携で、開発者の手元でのコラボレーションがより自然に効率的に行えます。

Google Labs プロダクトディレクター キャシー・キレベック氏

ミッションコントロール: どこからでも操作できるコマンドセンター

Agent HQの力はミッションコントロールで発揮されます。これは、どこからでも操作できる統合コマンドセンターで、一貫したインターフェースのため、GitHub、VS Code、モバイル、そしてCLIでのAIエージェントのタスクを一つ一つ指示、監視、管理できます。ミッションコントロールを使えば、複数のエージェントから選択し、並行して行う作業を割り当て、あらゆるデバイスから進捗状況を追跡できます。

以下の機能も提供しています:

  • 新しいブランチコントロールにより、エージェントが作成したコードに対してCIやその他のチェックをいつ実行するかを詳細に監視できます。
  • アイデンティティ機能により、チーム内の他の開発者と同じように、どのエージェントがタスクを構築し、アクセスとポリシーを管理するかを制御できます。
  • ワンクリックでマージ競合を解決できるようになります。そして、ファイルナビゲーションの改善と、コードコメント機能が改善されます。
  • SlackとLinearの新しい統合が、最近発表されたAtlassian Jira、Microsoft Teams、Azure Boards、Raycastとの連携に並んで追加されます。

  • ミッションコントールはこちらからお試しください。

    VS Codeの新機能: 計画、カスタマイズ、接続

    ミッションコントロールは、VS Codeにも搭載されています。つまり、VS Code、Copilot CLI、GitHubで実行中のすべてのエージェントを単一のビューで表示できます。

    VS Codeの新機能として組み込まれているのは、開発者はエージェントと協力してプロジェクトに取り組めるからです。素晴らしい結果を得るには、計画も重要です。そして同時に、プロジェクト開始前に適切なコンテキストを把握することは重要で、そのコンテキストは作業にも反映される必要があります。GitHub Copilotは、ファイルやプロジェクトの文化から学習することで、チームの作業方法に適応しますが、より具体的なコンテキストが必要になる場合もあります。

    そこで今日ご紹介するのはPlanモードです。AskモードやAgentモードと並んで選択できるようになります。GitHub Copilotと連携することで、タスクへの段階的なアプローチを構築し、その過程で明確な質問をすることができます。事前にコンテキストを提供することで、GitHub Copilotの機能が向上し、コードの記述前、つまりプロセスの早い段階で、ギャップ、決定の不足、プロジェクトの欠陥を発見できるようになります。Planモードで作成された計画を承認すると、計画はGitHub Copilotに送信され、VS Codeでローカルに実装したりクラウドでエージェントを使用して実装が開始されます。


    さらに細かい制御を行うために、VS CodeでAGENTS.mdを使ってカスタムエージェントを作成できるようになりました。「このロガーを優先する」、「すべてのハンドラーにテーブル駆動テストを使用する」といった明確なルールとガードレールを設定できる機能です。これにより、毎回プロンプトを再入力することなく、GitHub Copilotの動作を制御できます。

    また、GitHub MCPレジストリが、VS Codeから直接利用できるようになりました。VS CodeはMCP仕様を完全にサポートする唯一のエディタです。Stripe、Figma、SentryなどのMCPサーバーをワンクリックで検出、インストール、有効化できます。専門家が必要なタスクの場合、GitHub Copilotでカスタムエージェントを作成し、独自のシステムプロンプトとツールを使ってGitHub Copilotの動作を定義できます。


    チームが自信をもって管理できます

    AgentHQによってAIの力を活用できるだけでなく、自信を持って使いこなすことができます。コードの品質を確保し、AI がワークフローに与える影響を理解し、AI がコードベースや組織とどのようにやり取りするかをコントロールすることは、チームの成功に不可欠であり、私たちはこれらの課題に真っ向から取り組んでいます。

    コードの品質に関する根本的な問題は、「LGTM」が必ずしも「コードが健全である」ことを意味するわけではないことです。レビューは合格するかもしれませんが、それでもコードベースの品質が低下し、すぐに長期的な技術的負債につながる可能性があります。本日公開プレビューとしてローンチした GitHub Code Qualityで、組織全体の可視性、ガバナンス、レポート機能を活用して、あらゆるリポジトリにおけるコードの保守性、信頼性、テストカバレッジを体系的に向上させることができます。これにより、GitHub Copilotのセキュリティチェックが拡張され、変更されたコードの保守性と信頼性への影響を分析できるようになります。

    さらに、コードレビューステップを追加しました。GitHub Copilotコーディング エージェントのワークフローにも組み込むことで、GitHub Copilotが最初のレビューを実施し、問題に対処します (あなたにコードが表示される前に)。

    組織として、GitHub Copilotがどのように利用されているかを把握する必要があります。そこで本日、GitHub Copilotメトリクスダッシュボードを公開プレビューとしてリリースします。これは、組織全体におけるGitHub Copilotの影響と重要な使用状況メトリクスを表示するものです。

    AIエージェントやMCPを含むAIアクセスを管理するエンタープライズ管理者向けには、一貫性のあるチーム向けのAIコントロールを備えたコントロールプレーン-エージェントガバナンスレイヤーとして提供します。セキュリティポリシーの設定、監査ログ、アクセス管理をすべて1か所で行えます。エンタープライズ管理者は、許可するエージェントの制御、モデルへのアクセスの定義、組織内のGitHub Copilotの使用状況に関するメトリクスの取得も行えます。

    開発者のために、開発者によって提供されます

    私たち自身も開発者であることが、Agent HQを開発した理由の一つです。ツールがあなたを助けるのではなく、あなたと戦っていると感じる時があることを理解しています。「AIが支援」することが、より多くのコンテキスト切り替えを発生させたり、手間が増えたり、サブスクリプションが増えたり、そして約束された価値を得るために説明する時間が増えることを意味するならば、それは大きな問題です。

    しかしそれは今日で終わります。

    Agent HQはAIのハイプを表すものではありません。確実にコードをデリバリーするための現実です。開発者の選択の自由を妥協することなく、この新しい時代に秩序とガバナンスをもたらすことです。スピードと確信と共に、そしてあなたの望む方法で、AIのパワーを提供します。

    開発者のホームへようこそ。ソフトウェア開発をともに進めましょう。

    今年リリースしたものはこちらからご覧いただけます。