
著者: 角田 賢治 (GitHub、日本・韓国エンタープライズシニアディレクター)
日本におけるクラウド導入は、長年にわたり、複雑な規制とレガシーシステムによって制約されてきました。日本のクラウドへの移行を阻害した要因の一つです。デジタル社会へのイノベーション遅延、他国との競争力低下、デジタル化と近代化がもたらす経済的利益の制限につながります。
この課題は、金融、医療、政府機関、重要インフラといった規制の厳しい業界で深刻な打撃を与え、厳格なコンプライアンス要件と高い信頼性への配慮により、クラウド導入は困難でした。この状況が多くの企業を世界の競合企業の後塵を拝する結果となっているのです。
つまり、日本はクラウドネイティブな企業が享受している拡張性、持続性、生産性、AI主導のイノベーションを逃していると言えます。特にクラウドで直接コーディングし協業しイノベーションを行う部分においてです。世界は急速に変化しており、日本もそれに追いつくために積極的に変化を追求する必要があります。
今必要なのは、こうした障壁を取り除き、あらゆる組織が自信を持って革新する自由を与えることです。これを実現するのがデータレジデンシーであるとGitHubは確信しています。
データレジデンシー:日本における変革の推進力
データレジデンシーは、コードなどの重要な資産を国内に維持することを保証し、企業がクラウド導入に必要な信頼、制御、コンプライアンスを確保します。これは、日本の主要産業がトランスフォーメーションを加速し、グローバルな競争力を獲得する起点となります。
GitHub Enterprise Cloud Data Regidency
GitHubはこのニーズを認識し、データレジデンシーを導入しました。GitHub Enterprise Cloud (GHEC)で、厳格なデータ所在要件を持つ企業は、自信を持って、モダナイゼーションを進めることができます。現在、欧州連合、オーストラリア、 そして アメリカ合衆国で利用可能です。もうすぐ日本でも利用が可能になります。
Microsoft Azureのエンタープライズグレードのインフラストラクチャとセキュリティを基盤とするGHECは、クラウドの拡張性と、コードとリポジトリデータの保存場所を柔軟に制御できる機能を融合しています。顧客データは、転送中も保存中も保護され、マイクロソフトの高い基準と優れた運用体制によって支えられています。日本でこの機能が利用可能になることで、すべての日本企業はAIの新時代を描くことができるようになります。
GitHubは、米国において連邦政府機関の厳格なセキュリティおよびコンプライアンス要件を満たすため、連邦リスク・認証管理プログラム(FedRAMP)Moderateの取得を積極的に進めています。この取り組みは、グローバルスタンダードへの準拠の基盤となります。日本においても、GitHubは政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)の取得を目指しており、お客様のセキュリティ、ガバナンス、コンプライアンスを強化します。
日本における変革の推進
GitHubは、AIが支援する開発プラットフォームとして世界をリードしており、安全なソフトウェアの構築、拡張、提供を可能にします。日本では既に400万人以上の開発者と20万以上の組織がGitHub上で開発を行っています。データレジデンシーの導入を通じて、もうすぐコードを日本国内に保存することが可能になります。これにより、クラウド導入における最大の障壁の一つが取り除かれ、モダナイゼーションへの道筋が開かれます。
日本のクラウド市場は、2024年の4兆1,400億円から2029年までに2倍以上に増加すると予測されています。データレジデンシーにより、規制対象産業と従来型産業の両方が、自信を持って成長機会を捉えることができるようになります。
これからの新たな道
日本はデジタルの潜在能力を最大限に引き出し、より力強い未来を切り拓くことができると私たちは信じています。クラウドを活用することで、生産性が向上し、AIを活用した開発が促進され、ソフトウェアデリバリーが加速し、チームが安全にコーディングとコラボレーションを行えるようになります。GitHubのセキュリティはAIプラットフォームに組み込まれており、後付けではなく開発サイクルに統合されているため、シンプルでありながら最適な生産性とアプリケーションセキュリティを確保できます。これにより、産業全体の生産性が向上し、世界で競争力を持ち、高い安全性から長期的なデジタルリーダーシップを実現します。
あなたのコードへ新しい選択肢を
GitHub Enterprise Cloud により、SaaSの俊敏性、エンタープライズグレードのガバナンス、卓越したアプリケーションセキュリティ、データレジデンシーなど、お客様の条件に合わせてご利用いただけます。コードをコントロールし、イノベーションを解き放ち、組織のデジタル未来を前進させましょう。詳細については、当社の営業チームにお問い合わせください。